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桜蔭倶楽部 第12回 初夏の美術館めぐり ご報告 201962(日)

  講師 山口静一先生

 

 講師の山口静一先生と共に、今年は26名が参加して台東区内の文化施設3ヶ所をめぐりました。

9時に上野駅に集合し、まずは東京国立博物館の特別展『国宝東寺―空海と仏像曼荼羅』の見学です。東寺は、平安京遷都に伴って王城鎮護の官寺として西寺とともに建立されたお寺。この東寺を、唐で密教を学んで帰国した空海が嵯峨天皇から賜り、真言密教の根本道場としたそうです。1200年近く前のことです。

 空海は、密教の教えに欠かせない「曼荼羅」を唐から持ち帰り、東寺の講堂に大日如来像や菩薩像など21体の仏像からなる立体曼荼羅の世界を作り上げました。特別展では、空海にまつわる名宝や東寺に伝わる文化財など、数多くの至宝が紹介され、さらに最後の展示フロアーには東寺講堂安置の立体曼荼羅のうちの15体が出品されて、その11体を360度見て回りながら、圧巻の空海ワールドを堪能することができました。写真は国宝の「帝釈天騎象像」で、この1体のみが撮影を許可されました。

次に、東洋館地下のミュージアムシアターでは、美しい4K映像で、東寺講堂の立体曼荼羅の世界を通して、空海が言葉では伝えきれない祈りの形に触れることができました。

 この日は特別展の最終日であり、外では入館を待つ長い列が続いていました。平成館脇の初代博物館館長 町田久成の若き頃の胸像を見てから、上野公園内をのんびり歩き、昼食場所の『韻松亭』(いんしょうてい)へ向かいました。

  

 ここは140年の歴史がある豆菜料理で有名なお店。胸像で見た町田久成と韻松亭との関わりを山口先生からお聞きした後、花籠膳を美味しくいただきました。ご飯は豆ごはん、食後の水菓子は笹巻き麩まんじゅう、お茶はおから茶でした。

食事を終え、不忍池の畔に建つ区立下町風俗資料館へ。池いっぱいの蓮が蕾を出す準備をしていました。

この資料館は、庶民の歴史である古き良き下町文化の記憶を次の世代に伝えようと1980年に設立され、区内外から寄贈されたたくさんの資料が展示されていました。

そこからタクシーに分乗し、途中、吉原大門(おおもん)の交差点や吉原神社、見返り柳があった場所など、かつての吉原遊廓辺りを車窓から眺めて、まもなく最後の目的地の一葉記念館に到着。

樋口一葉が母と妹の3人で下谷龍泉寺町に移り住み、荒物駄菓子屋を営み、ここでの生活が名作「たけくらべ」の土台となった、それが縁で1961年に台東区がこの地(現・台東区竜泉)に建て、老朽化のため、五千円札の肖像に採用されたのを機に改築されました。一葉直筆の「草稿」や「書簡」、生い立ちからわずか24年の短い生涯を閉じるまでの姿を、充実した展示で見ることができ、時間がもっと欲しかったと思いながら解散場所の上野駅に戻りました。

日差しも気温も程よかった初夏の一日、身も心も頭も豊かになりました。

 

 



       

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